亀頭包皮炎 裂傷も専門的にみています。 夜間頻尿の目標達成シート|夜間頻尿の正体 探求本
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第3の柱 性病関連の治療、受診状況

性感染症について

 当院では、尿道炎を素早く治すように心がけていますが、淋菌性尿道炎のなかには時たま抵抗性を示す症例があります。また、特に自覚症状が乏しい場合に検出されるのがクラミジア尿道炎です。頻尿的には、クラミジアが最も多く、次いで淋病、コンジローマ、性器ヘルペスです。
 
 診察は、まず尿所見で細胞成分、白血球の増加がないかを確認します。更に尿道を刺激して尿道口からの分泌物が有れば顕微鏡で確認して炎症所見の有無を確定します。状況によって、クラミジア、淋菌など感染症の原因を染色や外注検査で判定します。また、感染機会がどのようなものであったかについても聴取し、再感染の防止に努めます。
 
  感染機会があったために心因性に症状を訴える症例もあり、いわば性病不安症なる人もおられます。ネット上の情報で不安が増幅し疑心暗鬼になる場合もあり、そこは自己判断より専門医の意見を聞いた方が早道だと思います。
また、亀頭包皮炎で来院する人に、ネット情報から真菌性を訴えて治療を指定して来られるケースが増えています。ネット情報で自分を診断しその治療を求めて来られる現象です。当院では状況を聞いてから当方で治療方針を判断させていただきます。
 
  最近たしかにフレッシュな早期梅毒が増え、当院では初期硬結をよく見かけるようになりました。この場合、簡単に治療はできますので心配はありませんが、他者に感染させる恐れがあるので早期治療が大切です。コンドームを介さない接触(オーラルやセックス)には注意してください。
 
  尖圭コンジローマ、性器ヘルペスは変動なく安定した来院数ですが、性器ヘルペスは再発例の通院が多く初発例は多くありません。
性器ヘルペスは継続通院される場合が多く、患者実数はそれはそれほど多くないとおもわれます。
両者とも、尿道炎ほど感染機会が明確にはならないし、治療終了後においてもパートナーに接触感染するかどうかも不明確です。
尖圭コンジローマは治療消失後3ヶ月は再発監視する必要があると説明しています。

当院における月別性病症例数 2018〜2021年 確定症例数のグラフ

2019年の診断が確定した月毎の性病統計です。当院では淋病はほとんどがジスロマックSRの1回投与で改善しています。抵抗性淋病はたまに見られますが、なんとか治療できています。
尖圭コンジローマはクリームと電気焼却で治療しています。
2月から始まったコロナ影響下では、性感染症は全く減っていない。

2021年月別統計と最近4年間の比較

このコロナ下でも、淋病、クラミジア尿道炎は減らないことがわかります。以前はダブル感染を意識してジスロマックSRを使用していたが、現在では点滴注射のワンショットで経過をみる場合が増えています。また、梅毒も時々みられ、咽頭感染も経験しました。
患者さんに聞いてみると、このコロナ下でもフーゾクで感染する人が後を断ちません。

2023年の性病統計

最近の梅毒症例 2022.5

再検査で陽性となった2例他

最近、初診時陰性で2週後に陽性と判明した症例、偽陽性が陽性になった症例の2例がありました。いずれも鼠径リンパ節腫大と潰瘍面の周囲にリング状の硬結を触知できていました。そのほか、外尿道口の硬結、包皮のリング状の亀裂を含む軽度の硬結、咽頭の白苔潰瘍など色々なバリエーションが見られました。
最近梅毒の咽頭部感染の症例を確認しましたが、一方で風俗関係でオーラルセックスの際に女性から感染したとしか考えられないと訴えるケースもありました。この口腔内からの感染が容易に陰茎に移れば梅毒は急増する可能性が十分考えられるということです。

最近の梅毒症例の治療について

梅毒にステルイズの使用感

筋注する際の注射針に対する抵抗感はなくなりましたが、副作用があり夜間のため救急車を呼ぶ事案がありました。同一人物に対して2度目の筋注でしたが、筋注直後から浮動性めまいを訴え、手指の軽度振戦、嘔気がみられ、バイタルは正常でしたが1時間経っても改善せず救急搬送してもらいました。これはアナフィラキシーの一種でしょうか?救急外来では呼吸症状があったためアドレナリン筋注が施行され帰宅したと報告がありありました。翌日本人からは回復したとの連絡がありました。メーカーからはデータが少ないためか明確な情報は得られませんでした。効能書きには副作用として挙げられている症状ですが、後期梅毒に対する複数回筋注には注意を要すると直感しています。
<ステルイズの問題点>
①早期梅毒で初診時定性試験で陽性、ステルイズ注射、1ヵ月後にRPR定量がまだ陰性化していない場合、経過観察でいいのか?
②同上のケースで患部に硬結が残っている場合、経過観察でいいのか?
③ステルイズ使用後、1ヵ月以上経ってRPRが高い場合、ペニシリン内服薬を服用させていいのか?
③早期梅毒と晩期梅毒の鑑別
④ステルイズ注射、2度目は1度目より副作用の発生確率が高くなるのか?
⑤ステルイズの情報が不足している


なお、ペニシリン内服薬にかんしては、これまでに2例最初に発熱がありましたがそれ以後の持続服用では発熱なく継続服用が可能だった経験があります。

梅毒感染症来院者の最近の傾向について(2023年9月)

ここ1年間は月2〜3人がconstantに新規に受診されます。それまでは2〜3ヶ月に1人程度でしたが明らかに増えています。今や、コンジローマやヘルペスに肩を並べるくらいです。特に最近の傾向として感染して2〜3週後に来院され、初診時血液検査でRPR、TPが両方とも陰性あるいは1つだけ陽性の場合が増えています。一般薬で効果なく、再検査と同時にサワシリンなどの処方で局所所見が改善傾向にあり、再検査結果を見るとRPR、TP両方とも陽性になっているケースが増えています。梅毒治療は少し長めに経過を見るため、外来患者数が目立ってきました。内服効果、注射効果はほぼ良好です。 局所所見は亀頭環状溝部の硬結潰瘍が多いですが、その他様々な形態病変があり、疑い診断は比較的簡単で、ペニシリン製剤でしか効果が出ないのが特徴です。最近では咽頭部に白苔が見られる症例、オーラルセックスで感染したとしか考えられない症例もみられました。

11月の梅毒 外尿道口付近の硬結という症例(2023年11月)

 1〜2ヶ月前に2回の行為があり外尿道口部の硬結、及び腹部の発疹に気づいて来院した患者さんです。

 診察すると、外尿道口右側口唇部の亀頭の奥にシコリがあり、その表面は発赤腫脹はあるものの潰瘍はない状態でした(写真)。また、尿所見は正常で排尿に関する症状もなく、尿道粘膜には異常はみられませんでした。右鼠径部にリンパ節腫脹の硬結を触れ、軽度の発疹もあることから梅毒を疑い、TP、RPRの検査を行いました。定性反応の結果は両方が陽性でしたので、ステルイズを筋注しました。定量検査では、RPR  86.3 R.U TP 938.3 U/ml でした。2期梅毒でしょうか? 少ない経験の中で見たことのない所見でした。

 梅毒の所見はさまざまな病態を見せてくれます。ただ、陰部に硬結があり、鼠径リンパ節の腫脹があるならば、一応疑った方がいいと思います。
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