本文へ移動

診療日記、日々雑感

診療日記 ( 一開業医の診察室)

排尿日誌について 夜間多尿についての感想

2018-11-02
 
  診察中に持ってこられた排尿日誌を即座に分析するには時間がかかり、どうしても必要な人にだけ排尿日誌をつけてもらっています。職員に計算、まとめをしてもらうと助かるのですが、まだその体制にはなっていません。夜間多尿については起床第一回目の尿量も加えるため、連続した書き込み日数が少なくとも3日必要です。
   当院にも多くの前立腺肥大症などの患者さんがいるのですが、夜間多尿と認定出来る人はほとんどいません。寒い日が来れば多くなるはずなのですが、、、、。当院では生活指導を徹底しているので少ないのでしょうか?わかりません。一般には夜間頻尿の約70%が夜間多尿が原因であると言われています。先日の排尿機能学会の1つの演題をみても治療中の症例でも夜間頻尿として残る症例の約70%が夜間多尿であると、抄録データの内容からわかりました。
 
  夜間多尿は、入眠から起床第一回目の尿量の合計が1日尿量の1/3以上に達している場合です。一般に夜間頻尿2回以上(起床時を除く)、1回尿量150〜200cc以上、1日尿量3000cc以下が条件となります。ただし、中には無呼吸症候群で見られるし、うっ血性心不全、下肢の浮腫によるものもありますが、それらを除いた症例で夜間多尿の人を治験適応者として探しています。意外と少ないものですね。滅多にないケースですが尿崩症も除外です。当院で2〜3回以上の夜間頻尿が続く人は、膀胱容量の小さな人、中途覚醒が多い人、睡眠時間が長い人、多飲、起きるたびに水分を摂取する人、プレフレイルの人など様々で、生活指導にも限界があります。
 
  学会では、夜間多尿になりやすい人は、夜間高血圧型の人とか、高血圧のコントロールがとれていない人、夜に降圧剤を服用している人、食塩取りすぎの人などと言われています。日中に塩分が腎臓から出し切れない場合、残った塩分が水分と一緒に排泄され、尿量が多くなると言います。無呼吸症候群は無呼吸により血圧が上昇し心臓を圧迫するためナトリウム利尿を促進するホルモンが分泌され、心臓拍出力が強まり多尿となると言われていますが、同じように夜間高血圧などのナトリウム利尿によっても多尿となると考えられています。
  ちなみに、当院の肥大症患者の約4割が降圧剤を服用していますが、夜間頻尿2回の人はやや多目であるかもしれませんが、あまり夜間多尿の人は見当たりません。生活指導で日中の発汗、水分コントロールによって塩分・水分のvolumeが減少すると、心臓の拍出力がよわまり夜間多尿が少なくなるのでは、と思っています。
  また、糖尿病の人でブドウ糖を尿に排泄させるSGLT2阻害薬を服用している場合でも、そんなに夜間頻尿、夜間多尿が目立つことは当院ではありません。
 
  追記です。当院通院の男性LUTS患者(ほとんどが前立腺肥大症)で夜間頻尿の頻度をアンケートして調査しましたが、本来なら排尿日誌を3日でもつけて調べたらデータは正確になるのですが、説明と集計のマンパワーがとても足りません。そこで患者さんのここ2週間の印象で平均的回数を聞いたのですが、この集計が限界です。治験などでは3日間の排尿日誌を使っていますが、それでも集計が大変です。日常診療では、夜間頻尿全員にとることは難しく、当院では、治療しても効果の上がらない人の原因究明に使用しています。
   当院のアンケート結果ですが、3回以上は少なく、夜間多尿で治療抵抗性の人はあまり見かけませんでした。
3回以上の人では、1回尿量が少なかったり、睡眠後半の中途覚醒であったり、睡眠時間が長い生活スタイルやプレフレイルの人、目が開いてもしばらく寝床にいて起き出さない人もおり、様々でした。生活指導をしてもなかなか自己管理に結びつかない場合もあり、臨床現場の難しさを感じました。生活指導に難治性の夜間多尿がどれほど存在するのか、今後の究明を期待しています。
TOPへ戻る