本文へ移動

診療日記、日々雑感

診療日記 ( 一開業医の診察室)

前立腺肥大症患者にシロドシン服用で逆に排尿困難になったと苦情を言われた件

2019-08-01
初診来院で尿失禁と亀頭部の炎症を訴え来院した患者さん。糖尿病患者で内服治療中。
超音波では前立腺肥大(体積40㎤)と残尿100ccが確認されたため、採血とシロドシン4mg 2錠分二を処方して帰宅させたが、薬を服用してからのタイミングで排尿困難が強くなった、と言い張る。亀頭部の炎症は軟膏と内服で改善したが、自分は失禁があるから受診したのにそれに対する薬を出してくれなかった、なぜ出してくれなかったんだと詰め寄る。
1回の診察ではわからないこともあるので更に検査が必要だ、と言って追加検査を納得させた。ただし、PSAは3.14と正常、炎症反応なく、尿検査は炎症所見なし。尿糖は4+、血糖は126。残尿は約160ccあり内視鏡検査を行った。膀胱内は弛緩性膀胱壁以外の所見なく、膀胱頸部に膨隆が見られ、前立腺肥大が確認できた。膀胱は拡張し、尿意が乏しいことが判明し弛緩性膀胱を疑った。尿流測定で560cc排出し、Qmaxは22ml/sec たが、残尿もまだ150ccあり、弛緩性膀胱と判明した。よく聞けば、下肢に知覚鈍麻があるようであった。
シロドシンが聞かなかったのは尿意の知覚鈍麻による膀胱拡張があったためだとわかった。すったもんだした挙句、診断がついた症例であった。流石に1回の診察では、そこまでとは思わなかった。記憶に残る症例でした。
ただし、糖尿病の合併した前立腺肥大症症例は数多く見ているがあまり膀胱知覚鈍麻は見当たらないが、急に糖尿病が悪化して排尿困難が出てくるケースはまれにありうる。最近は排出症状、夜間頻尿で糖尿病を意識することはほとんどなかったので、たまにでてくると不意を突かれた感じです。今後は初診でも念頭において診察しようと思います。
 
TOPへ戻る