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生活指導ー各領域の知識で生活の方向性を解説

尿量のコントロール

尿量の管理その1 冬場の管理「冷え対策」

尿量、排尿回数の増減に関する自己管理の留意点

①第一に冷えないこと   冷えてしまったら②、③で調整しようとしても効果がありません

②冷えないように日常生活で活動し代謝を落とさないようにすること

③次に適度な水分摂取をすること    尿の色が水のようにならないこと

 

生活指導の根拠を示します

冷えの機序      http://s-igaku.umin.jp/DATA/64_01/64_01_01.pdf を参照     1)~5)

1)抗コリン薬は,この冷えの頻尿に無効

2)交感神経系が関与

3)交感神経系を抑制する αブロッカーをあらかじめ投与した場合,この頻尿は抑制される

   この頻尿は交感神経系を一部,介した頻尿であることがわかる。

4)その他の機序    無髄C線維が関与

5)寒冷刺激を与えずに同じような頻尿を誘発することが可能

  冷たさに反応する受容体を刺激してみると、頻尿が誘発される。

「ひやっ」とする冷たさ刺激が頻尿の誘発には重要。

 

 

交感神経系と、皮膚血管の体温調節効果器としての働き    

                                      (皮膚血流調節の温熱生理学   平田耕三   参照)

  血液移動で尿量が調節されている

  冷えると血管収縮を起こし→皮膚血管の血液量が減少する→心臓へ還流する血液量が増加→腎臓血流量の増加→尿量の増加→頻尿  

     (皮膚毛細血管が一気に収縮し、心臓へ血液還流が増えて心房性なNa利尿ホルモンが反応するという仮説が考えられる。そのため、冷えると尿量は一気に増えると思われます。)

  温まると→体温調節効果器としての機能が働く→ 血管が拡張→皮膚血管の血液量が増加する→臓器の血液量が減少→腎臓血流量の減少→尿量の減少→頻尿でなくなる

  また、

皮膚血管の血液量が増加 →汗腺刺激で発汗、不感蒸泄の増加→身体の水分量が減少→腎臓のホメオスタシス→尿量の減少→頻尿でなくなる

 

また、宇宙生活では、重力がないために下半身に蓄積した水分/血液が移動することで心房性ナトリウム利尿ペプチドの働きによって尿量が増えると言われています。

           (宇宙飛行による骨・筋への影響と宇宙飛行士の運動プログラム 大島 博   水野 康   川島 紫乃)  参照

私は日常生活における「水分/血液の移動」が尿量管理のポイントであると考えています。また、それに伴い、冷えにより血液が心臓に集中して同様の原理で利尿が起こるのかもしれません。これを生活指導に利用しています。

代謝や深い睡眠によってこの移動を促します。これは当院の独自的指導法です。多くの通院患者さんから賛同を得ています。これにより、午前中の多尿、夜間多尿はかなり改善できると考えています。

 

「睡眠の管理」 夜間頻尿対策に有効です!

入眠時と睡眠継続の生活指導

<入眠しやすい状態を作るには、以下の3点について考慮すべき>

 ①寝室内環境         

         人体と寝床内環境(着衣、寝具、寝床内温度)との熱水分移動

         それに連動して変化する生理反応が睡眠充実度と睡眠時尿量の減少に関係する

          室内最適温度20℃~26℃     寝床内気候(最適温度)32℃      湿度50%   

 

 ②深部体温の低下     

           睡眠時の体温調節反応        睡眠時の代謝量の低下        熱流の移動

           睡眠時と覚醒時の体温調節反応や睡眠段階の違いに着目

          入眠~深睡眠時において深部体温に落差をつくる

          日常生活で活動代謝を増やして睡眠前に深部体温を低下させないようにする

           睡眠前には副交感神経が優位になるような生活環境が必要

           メラトニンの日内変動を守る自己管理

 

  ③皮膚温度      

       入眠前に手足が冷えていると、放熱が起こらず深部体温が下がりにくい     

       一旦冷えると、温めても温まるのに1時間以上要することもある

           室内環境、寝床内環境の影響と体温調節反応による影響がある

 

<睡眠の継続について>

           特に、腹と背中は高温、前腕と下腿は低温側になりやすい

           腹と背中、前胸部を冷やすと全身が冷えることになり、浅い眠りとなる

           寝床内で、腹は伏臥位のとき、背中は仰臥位のときに敷布団と接触し、放熱しづらくなることに伴い温度が上昇しやすい

           睡眠時、冬場に冷えると血管収縮を起こし体内へ血液移動を起こし 尿量が増えやすく、眠りも浅くなる

           冷えによる神経反射が全身に広がり、覚醒しやすく、尿意も出やすい

           足を温めて手先まで温まらなければ、全身まで温まったとはいえず不十分となる

 

 

睡眠に関し考慮すべき生活指導の基本

⚪︎睡眠の最初の3時間(睡眠サイクルの 2 単位)で、深睡眠がまとまって出現

    実際は定まらず、人によっては後半に深睡眠がくる場合もある。深睡眠時間が多くあればよい

    ノンレム睡眠(深睡眠)は,大脳を休ませて回復させる役割を持っている。

    ノ ンレム睡眠では意識水準の低下および体温の低下のため、覚醒へのスムーズな移行が困難

    そこで睡眠と覚醒との橋渡しをする

     発汗       体重の一晩800gの減少      深睡眠時に発汗    レム睡眠時には発汗は少ない

                  体温調節反応

 

⚪︎中途覚醒

     高温環境や低温環境では、中途覚醒、体動の増加や睡眠段階の変化が起こる

     気流により中途覚醒が減少し、温冷感や睡眠感が改善される

     高温高湿環境での頭部冷却が睡眠の質に効果がある

     低温環境での足部加温により入眠潜時が短くなる

 

⚪︎皮膚血流量

     皮膚血流量は体温調節のための熱放散反応における制御器の役割を持つ。

     放熱量を増やすためには、血管が拡張し、皮膚血流量が増加する方向に調節される

 

⚪︎寝姿勢と温熱環境および温熱生理量

     寝姿勢と腹・背中温度および周辺の敷布団温度の変化が、相互に関係していることを確認

     寝姿勢や温熱環境から人体の温熱生理反応を予測できる可能性がある

 

上記は関連しており、ひいては尿量にも関係する。

 

                    参照             睡眠時の温熱生理・心理反応の非定常モデル     石黒 晃子

                    https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/70021/1/D_Ishiguro_Akiko.pdf

良質な睡眠をとって尿量をコントロールし、夜間頻尿を減らす方法を具体的に示す。

冷え対策を施し、深部体温を睡眠時まで保って良質な睡眠を取って尿量のコントロールをすることで夜間頻尿を減らせます。深部体温を高めに保つ意味や、睡眠までの深部体温を高く維持する方法などについて、具体的にあげてみます。

 

1) 深部体温とは、脳や心臓など、内臓の温度であり、測定は主に直腸内温度で行われます。その日内変動は約1℃といわれ、最高は午後8~9時頃、最低は深夜の午前4~5時頃と言われています。この深部体温の急激な下降による落差は、入眠時に手足から放熱して下降し、睡眠パターンの 90分サイクル2回目までの深睡眠のボリュームが大きいほど落差が得られます。睡眠による身体の回復の重要部分は、深部体温を下げることによって脳は活動を減らし、心臓は拍動を減らして休息させる、というこのなのです。

   老人は若者に比べてその落差が少なく、臥床時間が長いほどさらに落差が少なくなります。それは、浅い睡眠の増加、中途覚醒の増加を起こすし、尿量の増加を起こします。よって、老人は日常の活動代謝のレベルが落ちないように動き(生活活動代謝)を増やし、また、特に夕方から寝るまでに深部体温の上昇を妨げすぎないよう、日内変動の落差があるような生活行動をとる必要があるのです。

   深睡眠のときは発汗量も多く、そのため放熱を加速させることになります。その時間帯では血液移動が皮膚毛細血管に集まり発汗、不感蒸泄も増えており、当然ながら尿の産生も減少、濃縮が起こり得ます。夜間睡眠時には約800ccの発汗が行われると言われており、この多くが深睡眠時間に起こります。だからグッスリ寝た時は、尿量も少なく濃縮尿になっています。これを夜間回数を減らすための尿量コントロールに利用するために、生活指導が大切と考えています。

 

2) しっかり食べて、しっかり動き、ジッとしてたりボーっとしている時間を減らす。朝より夕方に活動を増やす。代謝を上げて身体を温める。身体をポカポカさせる時間を作る。

 

3) 1日を活動的に過ごし、1日1万歩が目標。出来るだけ夕方がオススメで、中強度の運動で身体を燃やす。何故なら、朝ヤカンを沸かしても夜には冷めてしまうからです。

 

4) 身体が冷えている場合、寒い日には、入浴を遅くし、睡眠の1~2時間前がよい。何故なら、温泉や銭湯で温まった後ではぐっすり眠れ、夜間の排尿回数も減ることが多いことは、誰しもが経験することです。入浴は40℃、約10分浸かり、若干のホテリを感じ、風呂上がりはポカポカ感があるのが十分温まった証拠です。42℃以上の熱いお湯に入ると交感神経を刺激して血圧、脈拍上昇や覚醒を起こすし、長時間入浴できないために表面だけが温まり深部まで温まらないのですぐに冷めてしまいまい保温効果がありません。40℃で10分以上湯船に浸かっていれば、身体も温まり、副交感神経を刺激したリラックス状態になります。風呂は1日の睡眠前の深部体温の最終調整をする時間でもあります。

 

5) 副交感神経を優位とし、手足からの放熱を促す。寝る前、夜遅くパソコンをしたり、激しい運動をしない方が良いのです。深部体温がやや低めであると手足の血管が収縮して冷たくなり保温されます。その状態が続くと入眠前に手足からの放熱が起こらず眠りにくくなり、眠っても睡眠が浅くなります。睡眠が浅い状態では血液移動が起こらないために尿量も減りません。90分サイクルで目覚めやすくなります。深い睡眠を得て、入眠から3~4時間は中途尿意覚醒をしないようにすることが大切です。そうすれば多くて夜間排尿1~2回で済ますことができると確信します。

 

6) 冬場は寝室温度は20℃前後に維持し、寝床内を30℃程度で蒸れないようにする。寝床内が暑すぎると深部体温が下がらず、睡眠が浅くなり中途覚醒後排尿がおきやすくなるからです。睡眠は基本的には手足から熱放散をすることで深部体温を下げ、脳や心臓を休ませるために適切にとる必要があるのです。また、早朝の時間帯は外気温、室温が下がる時間であり、冷えないような注意が必要です

老化と対策

老化すると排尿環境に影響する身体的変化が起きてくる!

血管、血流量の変化

1)交感神経系の皮膚血管反射の鈍化    皮膚血流量の調節能力の低下

     (冷えやすい体質   低体温    熱中症)     体熱が奪われやすく熱放散能力も減る   

     皮膚血管の放熱量----  毛細血管網(動脈--毛細血管--静脈) <  AVA(動脈--吻合--静脈)

     毛細血管網は皮膚組織(真皮)に3相に有り、かなりの量が血液移動することができるが、老化で減少する

2)皮膚毛細血管の減少 、劣化      血液の蓄積量が減少         

3)深部体温の日内変動の変化      1日の変動落差が少なくなる   代謝の低下

 

睡眠の質

1)睡眠時間、臥床時間が長くなる

2)深睡眠時間の減少   浅睡眠時間の増加      レム睡眠時間の減少

3)不眠症の増加  中途覚醒   早朝覚醒

 

尿量の増加

1)罹患疾患の増加、服薬機会の増加で尿量の増加

2)保水能力の低下    筋肉減少

3)発汗機会の減少、運動量の減少、代謝の低下

 

意欲

1)目標設定の喪失

2)社会的参加の機会が減っていく

3)生活リズム、自己管理ができなくなる

 

代謝

1)筋肉量の減少       基礎代謝の減少

2)生活活動代謝の低下        

3)食欲の低下、不規則な食生活      食物誘導性熱産生

4)ホルモンの低下      テストステロンの減少

 

行動、運動制限

1)疾患によるもの

2)ロコモ症候群

 

 

老化対策

上記の項目で上げた高齢による身体的、精神的変化によって、無策であれば虚弱(フレイル)に近づいていきます。

老後に目標設定を!

定年後におこる生活、体調の変化に注意!

 

60歳以上の高齢者の生活状況をアンケート調査した結果(左図)によると、仕事につき続ける人の率は20%程度となっている。それでは何をして過ごしているのか? またその調査によれば、約70%の人は社会参加に関しても何もしていないということです。自分の健康を考え自己管理をしている人もいると思いますが、生活のリズムが変化していく場合が多いと思います。生活活動代謝が落ちてくると、気力、体力も減退して行きます。そこには、日々の生活にはっきりした目標設定があるかないかで大きく変わってきます。

 

  高齢になると生活リズムが変わってきて、生理的、身体的変化やモチベーションなどの精神的変化が起きてきます。仕事のある現役世代では、それがペースメーカーとなり生活リズムがあります。仕事から離れると、テレビ、パソコンを見たり身体を休めたりする時間が長くなり、無策であればそれなりに老化が進みます。生活習慣病、機能制約が出てきます。実をつけた後の植物は自然に葉が枯れていきます。代謝が落ちて老化が進むのです。健康な老後を過ごそうと思えば、サプリだけではなく自らが動き代謝を上げなければなりません。それが適度な運動、生活活動代謝を増やすこと、目的意識を持ってモチベーションを高めることです。実をつけた後の枯れていく植物に栄養を補い、気候に少しでも耐えるようにケアし寿命を伸ばすのと同じことです。

  身体を動かせば、代謝も増え、体温も上がり、意欲も増し、自分の行動を修正して生活を自己管理する事でアンチエイジングにつながります。しっかり食べ、ジーッとしていたりボーッとしていたりする時間を減らし、しっかり動いた成果でぐっすり睡眠をとって生活の好循環につなげたいものです。そうすれば、自然と「尿量の自己管理」ができてきます。逆を言えば、夜間回数を自己管理できていることで、生活全般が健全であるか否かをうかがい知ることができるのです。泌尿器科的にも安定した「薬の効果」も出てくるし、生活習慣病の予防や改善にも役立つと考えます。

  泌尿器科男性患者で60歳代は夜間頻尿は回数的にそんなに多くはならず、生活指導でも効果がでやすく回復します。70歳代後半、80歳代になると膀胱も敏感になり体力、気力が落ちれば生活リズムも狂い特に頻尿が増えてきます。前立腺肥大症、過活動膀胱があれば排尿トラブルは目立ってきます。当院の患者さんの経過観察でも高齢になるにつれて治療抵抗性が出てきます。

  そこで老後生活に目標設定が重要なのです。目標があれば、日常の自己管理も継続しやすいのです。例えば、畑仕事のある人など、肉体的にも成果授受にも役立ち、良いと思います。また、社会参加があれば生活のメリハリがあって意欲や生活活動代謝が上昇するのです。一方で、体力、気力が落ちていき、持病とともに動く時間が減っていくと、介護生活に近づくことになるのです。健康でいつまでも元気な高齢者と介護生活を余儀なくされる高齢者との別れ目に立っていることを考えて欲しいのです。

 

老後の目標設定 アンチエイジング

当院推奨の「目標設定のステップ」

 

1)自己分析或いは家族による分析を行い、現状を知る

       現状の生活を見渡し、健康状態、運動能力、運動量、心理環境をチェック

            肥満度

            持病                  生活習慣病     ガン     血管病    腎機能低下   その他

            運動能力           スポーツ        野外の趣味

            運動量               活動範囲       生活活動代謝

            食生活               好み    食事量    栄養状態  食事制限                      栄養状態

            睡眠時間           床にいる時間       睡眠充実度                                 睡眠環境

            性格                  意欲、積極性、社会性

2)健康状態の目標を立て、あるべき姿を思い浮かべる

           たとえば、自分の回復した姿を思い浮かべる。

         そして、社会性の回復、自分の家族内位置づけなども全体像から把握する。

         生活意欲を増やす

3)具体化して目標の達成要素を考え、計測して実施する

     1日にどれだけ動くか                                                 アップルウォッチが最適

           代謝量                                                1日の代謝量

           筋肉量、体重                                     基礎代謝量                                

           運動量                                                生活活動代謝

           立っている時間

           歩数                                                    1  8000歩以上

    ②食生活の改善

    ③睡眠時間、昼寝時間                                                   睡眠アプリが利用可能

           睡眠パターン

    1日の生活のリズム                                12回は中強度の運動    10

           楽しいイベントの間隔                         娯楽でストレス発散

4)抵抗するものはあるのか?

       障害として、

         疾患的行動抑制

         腰痛、膝痛、歩行障害、病気による制限            ロコモ症候群

         疲れやすさ、筋力、                                       サルコペニア

         不眠症、不安                                                社会参加    精神的要因

5)学習戦略で自信につなげる

         PDCAサイクルを使用     

            計画、実行、チェック、修正実行

 

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