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夜間多尿による夜間頻尿の治療開始

夜間多尿の治療開始 (2019年11月17日現在、対象者12例を下記に記す)

ミニリンメルトの処方の適応について

 夜間多尿による夜間頻尿の治療を開始しました。夜間頻尿の最後の切り札と期待される新薬「ミニリンメルト」ですが、2019年10月から処方を開始しました。この薬は第3相治験から携わっていますが、抗利尿ホルモンが腎臓に作用して尿量を減らすものです。多飲多尿傾向の人や、抗利尿ホルモンの不足している人が適応ですが、水中毒の副作用があるために使用上の注意点を守る必要があります。慣れるまでは特に高齢者には慎重に対応する必要があり、安易に処方するものではなく、従来の一般薬とは違う対応を心がけています。
まず、適応者は、
①夜間頻尿が2回以上、
②排尿日誌で夜間尿量指数(NP i)が33%以上で1日尿量が2500ml以下、1回尿量150ml以上。
③腎機能が一定以上である事、
④血清ナトリウムイオン濃度が135mEq/L以上である事などです。

  ④については、処方1週後、1ヶ月後などにチェックが必要です。また、安全のために服用する前からの水分摂取の注意と水中毒の兆候の認識について自己管理が義務付けられます。
これらを乗り越えて、この新薬は、夜間多尿による夜間頻尿に苦しむ人の最後の切り札といえます。
治療側では、正確な診断、無呼吸症候群による夜間多尿の除外、安全管理を起動に乗せることが必要で、これまでの薬とは違う細心さが必要です。
 
 なお、この薬は治験において、被験者に夜間抗利尿ホルモンが低下していることを確認してなされていないので、生活習慣による多飲多尿が少なからず含まれていると感じています。もとよりその血中濃度の低下の有無にかかわらず、夜間だけ抗利尿ホルモンを補充するための薬といえます。薬効は短かいですが、その間の血中ナトリウムの喪失からの回復に時間がかかるため、注意が必要です。
 初診時の夜間頻尿はその約70%が夜間多尿によるものと言われていますが、通院治療中の患者さんでは生活指導を加えておればそれ程多いとは思えません。臨床試験では65歳以下の非高齢者が対象であり、低ナトリウム血症は65歳以上で1割程度は起こりうると言われています。臨床試験の成績では夜間回数が1.21回減り、尿量が267cc減ったと言われていますが、一方でプラセボは0.76回、161cc減ったと言われています。排尿日誌をつけただけでかなり減り、生活指導になったようです。生活指導を徹底した当院では、夜間回数が多く残る患者さんの中では中途覚醒によるものも多く、夜間多尿が残る患者さんは多くはないことを付け加えておきます。夜間回数が2回の人には、その人の困窮度を聞いて処方しています。

初期処方で注意すること

当院の初期処方経過の注目点

血清ナトリウムイオン濃度が136mEq/Lの患者にミニリンメルトを服用させたところ、2名とも服用初日にふくらはぎに違和感を感じたという。25μgの1名は中止したり断続服用したりしていたが1週間後の採血では、血清ナトリウムイオン濃度は134mEq/Lとなっていたため、中止した。50μgの1名は初日こそ違和感が出たものの服用を続け、違和感は出なかったというが、1週間後、血清ナトリウムイオン濃度は127mEq/Lで中止となった。1例は利尿剤を服用していたことが判明し、ミニリンメルト を服用しなかった。投与初期はいろいろな問題点に遭遇する。

 

ミニリンメルトの禁忌を確認すると、  

❶副腎皮質ステロイド剤の併用は、低ナトリウム血症を引き起こす可能性が高いので禁忌。

以下も低ナトリウム血症を引き起こしやすいものの目安は、

❷習慣性又は心因性多飲症(尿生成量が40ml/kg/24h以上)

❸心不全又はその既往歴のある患者

❹利尿剤による治療中、或いはその既往歴のある患者

❺中等度以上の腎機能障害のある患者(eGFRが50ml/分未満)     血清クレアチニンは1.09以下が望ましいとされる。

 

中止の見定め

服用に当たっての生活の自己管理が必要です。

<服用中の日常生活の注意>

・投与の2~3時間前から起床時までの水分摂取の量は最小限にすること。

・眠前の30分前から水分摂取は禁止!  睡眠してから4時間は、目覚めても水分を取らない。宝水は禁止。

・口渇がある時は、口を湿らす程度にすること。唾液腺マッサージ。

・他の病院での点滴を受けた時は、その日は中止すること。

・急性疾患(全身性感染症、発熱、胃腸炎など)の時は改善するまで中止。

・投与の2~3時間前より起床時まで水分を多く摂取した場合は、その日は中止。

・体重測定で、3日間で2キロ以上体重増加が見られた場合は完全に中止。

 

ミニリンメルト錠のカードを常に携行すること。医師・薬剤師に伝えること。

家族の気づき、協力も必要。

 

<当院のしばらく行う対応と考え方>

・処方については特に安定するまでの初期は厳重注意が必要。

・安定してからも十分なチェックが必要。高齢者は特に、本人、家人、医院で連携をとる。

・高齢者の場合、心不全の有無、多飲による低ナトリウム血症、腎機能の低下、

 急性他病の併発に注意し、日常生活の中で水分摂取の取り方に気をつける必要がある。

・医師の側の観察と患者側の自己管理が、安全処方に求められ続ける薬剤である。

 

処方1ヶ月は、電話で要点チェック、頻回来院、処方量の減量で安全を確認する必要があります。

とにかく、全身状態、生活環境、生活習慣、突発イベントに対応して注意深く服用していく薬であるといえます。

当院の処方の実際

 当院の統計ではBPH通院者が多い割には、夜間2〜3回以上で夜間多尿による尿意覚醒後排尿の人はそれ程多くない。残尿が多い場合や、中途覚醒後の排尿の場合では1回尿量が多くないからです。特に夏場は少ないが、9月後半から10月にかけて3回以上が増えてきた。それは、夜間の冷え込みと夏場の多飲習慣が抜けきれないためとの症例が多いのかも。11月中旬までに夜間多尿と思われる症例は20例程度と思われたが、2例が135mEq/L未満で脱落(多飲多尿が原因と思われる)、1例はNPiが30~34.6%、低e GFRのため2例、口渇多飲1例、心不全1例、残尿による不適合で1例あり、結局12例に処方して経過観察中である。そのうち3例に低ナトリウム血症がみられ中止に至った。1例は蓄尿障害と不眠の調整不足で効果が得られず、残りの8例は効果があるものの減量継続で経過観察中である。必要に応じて投与間隔を開けて服用してもらうことも考慮しています。
 頻度としては、70歳代後半からが多く、超高齢者であることも多い。唾液腺分泌量の低下による口渇や内科的に水分摂取の指導を受けている場合の多飲多尿も多く、低ナトリウム血症はそれを示唆しているのかも。夜尿症の小児や治験対象が多い比較的健康な中高年とは違う十分な配慮が必要と考える。 心臓病、下肢浮腫など他病の合併も多くなり、どうしても慎重な投与が必要になってくる。この薬に慣れるまでは処方に慎重にならざるを得ません。
 ある患者さんはナトリウムイオン濃度が126mEq/Lで処方しなかったのですが、密かに夜起きる度に口渇のために水分摂取していたことが判明しました。高齢者の唾液減少についても注意が必要です。又、心因性多飲症の傾向があれば、低ナトリウム血症の傾向が考えられます。

夜間多尿症例のミニリンメルト 治療 (2019年12月末集計)

ミニリンメルト 発売2ヶ月です。当院には前立腺肥大症の処方治療患者は500人/月以上ですが、夜間多尿を疑われる患者さんはたった27人でした。メーカーの推定では夜間多尿はもっと多い計算になるようですが、本当でしょうか? 当院では、生活指導を重視しているためにすくないのでしょうか?そのうちでミニリンメルト継続有効例は48%であり、そんなに多くないと思います。有効例のほとんどは減量維持しており、生活の質さえ上げれば良いと考えており、その効果は即効性であるため患者さん本人のオンデマンドに任せているのが実情です。当院では夜間多尿の最終治療手段ではありますが、今のところ、あくまでも補助的手段として考えています。一般診療所から流れてきたある60代の患者さんは、夜間多尿のためにミニリンメルト を60μgを2錠分2で長期に処方されていたので、そうゆう投与の仕方もあるのかとビックリしました。この薬に慣れないために戸惑った次第です。内科的にはすでにかなり処方されて使い慣れているのでしょうか? この薬は残尿なく、1回尿量が多い人に適応であり、前立腺肥大症、過活動膀胱がコントロール、あるいは症状や排尿機能のない場合に有効と思われます。この薬はホルモン剤であり、服用すれば必ず効果は出るのですが、注意事項が多く、高齢者には処方が難しい薬であると考えています。副作用は低ナトリウム血症による症状がほとんどで、特に排尿機能障害を伴い他病を併発していることの多い高齢者では、腎機能との兼ね合いもあり、処方が慎重になります。服用に不安が先立ち処方後に服用を自己回避されることもあります。
 
 
 
 
 
 
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